炭素繊維とは
炭素繊維(Carbon Fiber)は5~10μmの極細繊維ですが、優れた力学的特性を持っています。アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料に高温で炭化して作った繊維です。
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)
CFRPとは、「Carbon Fiber Reinforced Plastics」の略で、「炭素繊維強化プラスチック」を意味します。炭素繊維と樹脂(エポキシ等の熱硬化性樹脂)が主な材料です。
雑貨から、ラジコンやオーディオ部品、車やオートバイの部品、医療機械や最近はボーイング787など多種多様な面で現在使用されています。
カーボンファイバー製品の特性
■軽くて強い
鉄やアルミ等の金属材料より比重が軽く、比強度が高いです。
■振動減衰性に優れている
近年、オーディオ業界も注目しており、その比剛性は鉄の5倍とも言われています。
■熱膨脹率が低い
炭素繊維の持つ低熱膨張係数により、寸法安定性に優れた成型品の製造が可能です。
■X線透過性が高い
各種医療機器として、使用されています。
■電気を伝え易く、電磁波も遮断する
電気伝導性(体積固有抵抗値)も良く、また、電磁遮蔽特性も優れているので、電磁波遮蔽分野でも使われています。
炭素繊維強化プラスチックは、優れた特性を持つため、特に軽量化や高強度が求められる産業や製品において広く利用されています。
炭素繊維強化炭素複合材(C/Cコンポジット)
C/Cとは英語はCFRC(Carbon Fiber Reinforced Carbon)の略語で、炭素繊維で強化されたカーボンのことです。
炭素繊維強化炭素複合材(Carbon Fiber Reinforced Carbon Composite)とは炭素繊維(Carbon Fiber)と炭素マトリックス(Carbon Matrix)から構成される複合材料です。炭素繊維は非常に強力で軽量な材料であり、炭素マトリックスは繊維を結合し、材料の強度と剛性を高めます。この組み合わせにより、C/Cコンポジットは非常に高い剛性、耐熱性、耐摩耗性、および耐食性を持つことができます。
一般的にC/Cコンポジットと呼ばれており、従来のカーボングラファイトも用途によっては強度も有り耐熱性も有する材料ですが、残念ながらその特性もある一定のレベルまでしか現在の技術では引き上げる事ができず、それをカバーする為に材料開発を行って出来上がった素材がC/Cコンポジットです。
C/Cコンポジットは従来のカーボングラファイトよりも曲げ強度で約3〜4倍、 そして落下させてもほぼ割れない程の耐衝撃性を有しております。 高強度の耐熱部品として宇宙、航空機部品用に元々開発された経緯が有り、主にホットプレスモールド部品、セッター、耐熱ボルト、ナットなどに使用されています 。
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まず炭素繊維を芯材にしたフェノール樹脂成形品(CFRP)を作り、それを真空中で1000~2300℃で焼成しフェノール樹脂のみ炭化させます。 そうすることにより炭素繊維の周囲をフェノール樹脂の炭化物で出来上がったカーボンで包まれたような形態となります。 この状態はフェノール樹脂の中の炭素以外の成分(水素、酸素など)が焼き飛ばされ、フェノール樹脂が炭化したカーボンの中には多数の孔が新たに存在するようになります。 この孔を埋めるためにフェノール樹脂液に浸し加圧含浸し再度焼成炭化していきます。 これを通常3〜6回繰り返しC/Cコンポジット材を仕上げる事となります。 |
C/Cコンポジットの特性
■軽量性:炭素繊維は非常に軽量であり、高い剛性を提供します。これにより、C/Cコンポジットは他の材料に比べて軽量でありながら強度が高いです。
■耐熱性:C/Cコンポジットは高温環境に耐えることができます。炭素繊維と炭素マトリックスは高温下でも安定し、熱伝導性が低いため、耐熱性に優れています。
■優れた剛性と強度:炭素繊維は非常に強力であり、炭素マトリックスはこれらの繊維を結合して剛性と強度を高めます。そのため、C/Cコンポジットは高い構造的な強度を提供します。
■耐摩耗性:C/Cコンポジットは耐摩耗性に優れており、繊維の間に摩擦が発生しても材料の性能が低下しにくいです。
C/Cコンポジットの特性比較
長繊維織物型板材 | 短繊維分散型板材 | 黒鉛質押出材(前出:比較用 | |
比重(g/cm3) | 1.5 | 1.3 | 1.70~1.72 |
硬度(shore) | 90 | 80 | 40 |
曲げ強度(kg/cm2) | 1000 | 1000 | 220~400 |
圧縮強度(kg/cm2) | 2200 | 2200 | 450~800 |